死亡事故における逸失利益の計算方法と争点につい
交通事故で被害者が死亡した場合でも、逸失利益があるとして損害賠償請求を行うことができます。ただし、死亡逸失利益を考える場合、基礎収入をどう算出するかがとても重要になってきます。
ここでは、死亡事故における逸失利益計算をどう考えるかについてご説明します。
死亡事故にも適用される逸失利益と計算方法
事故により被害者が死亡したことにより従前どおりの収入が断たれたとして、逸失利益を請求することができます。
死亡逸失利益の計算は難解で、以下の計算式を用いて算出します。
- 1年当たりの基礎収入×(1-生活費控除率)×稼働可能期間に対応するライプニッツ係数
逸失利益の額を左右するのは基礎収入の部分となりますので、死亡被害者が当時受け取っていた収入額が該当することになります。
逸失利益の計算に必要な基礎収入の考え方
会社から給与を受け取っている人の場合だと基礎収入の計算がしやすいですが、被害者が自営業者の場合は確定申告書の所得部分を採用することになります。
専業主婦の場合、給与として対価を受けているわけではないため客観的な収入事実はないものの、休業損害が認められており、賃金センサス全年齢平均賃金をもとに基礎収入を算出します。
保険会社によっては、主婦の休業損害を提示してこないこともあるため注意が必要です。主婦だからといって休業損害が請求できないわけではありません。そのような場合は、ぜひ当事務所までご相談ください。
逸失利益で争いになりやすい点は基礎収入部分
自営業者の収入は毎月変動する特性があるため、逸失利益に関しては基礎収入の部分が争点になりやすいと言えます。
労働能力喪失期間については争いになりにくい点です。14級相当だと考えられる場合、裁判なら5年と判断され、示談交渉なら相手方保険会社は当初3年を提示することが多いですが、最終的に4年で落ち着くことが一般的です。
被害者にとっては、4年か5年かの差は非常に重要なため、その差額についてよく説明し、理解を得れば4年を目指して交渉を行います。被害者が5年を希望する場合は、5年を獲得するために強気で交渉し、まとまれば5年となりますし、解決しなければ訴訟あるいは交通事故紛争処理センターにおいて争うことになります。
この場合、保険会社は5年で了解し支払いを行ってくれる傾向が見られます。
労働能力喪失率に関しても、基本的には赤本の労働能力喪失率に則しているので、争いにはなりにくいと言えます。
精神的負担が多大だからこそ弁護士の力を借りて賠償請求を行うことが大事
逸失利益や休業損害等、普段は聞き慣れない言葉が飛び交う手続きになるため、大切な人を失った中で少しでも負担を軽減できるよう、ぜひ弁護士にご相談ください。
当事務所の場合、電話相談の段階からすべて弁護士が直接お話を聞くようにしており、なんでも気軽に相談できる存在を目指しています。仮に短時間の相談や電話であったとしても、可能な限りアドバイスを行い被害者の方をサポートしています。
被害者のご家族には逸失利益や賠償金の仕組みについて全体像をよく理解して頂けるよう、説明を尽くして、必要な手続きをお任せ頂ければと思います。