賠償金額を左右する後遺障害の「併合・相当・加重」3つのルール
自賠責保険の後遺障害等級認定には、「併合・相当・加重」という3つの取り扱い方が存在し、最終的に認定された等級に影響するため、非常に重要なルールとなります。
ここでは、後遺障害の「併合・相当・加重」の基礎知識についてお伝えします。
2つの後遺症が同時に発症した時「併合」による等級認定が行われる
交通事故による怪我は、必ずしも一カ所のみとは限らず、複数個所に及ぶことが多々あります。異なる等級に該当する複数の後遺症がある時は、次の取り決めに従って最終的な等級が決定します。
- 後遺症が複数ある場合:症状が重い方の等級が優先される。最低等級の14級が複数ある場合は14級のままになります。
- それぞれの怪我の等級により、1~3級程度の繰り上げが行われることがあります。
後遺障害認定表には、手脚、目、神経等、各部位に一つの障害等級しか記載されていませんので、複数個所に怪我が及んだ時は、各怪我による後遺症の重さを考慮して等級の併合が行われるのです。
認定表に後遺症の該当例がない場合「相当」として類似する等級が適用される
等級は、認定表に記載された該当例を参照して認定されますが、後遺症の該当例がないケースが存在します。この場合、最も類似する他の症状とその等級に「相当」するものとして等級が適用されることになります。
よくあるケースとしては、事故を起因とする味覚や嗅覚の異常等が挙げられます。視覚・聴覚については細かな基準が存在するのですが、味覚や嗅覚の症状については定めがほとんどないため、「相当」という考え方が活用される部位です。
もともと障害を持っていた箇所に更なる傷害を負った時「加重」により等級が重くなる
事故に遭う前から障害を持っていた部位に対し、事故起因でさらに傷害を負い後遺症の程度がひどくなることがあります。すでにある障害に重ねて怪我を負うため、「加重」として扱われ、等級も重くなります。
この他、同じ部位だが発症の仕方が異なる場合、既存の障害とは全く違う部位に新しく障害を負った場合を含め、大きく3つに分けて加重という考え方が適用されます。
後遺障害の状態を医師がどう判断するかによって損害賠償額は変化する
併合・相当・加重のいずれにおいても、後遺障害診断書を書くのは医師であることから、医師の見立ては非常に重要な点となってきます。
このため、労災規定に準拠するような形で、可動域制限・神経症状・痛みに関してできる限り深刻さが伝わるよう、後遺障害診断書に書いて頂くことをお願いしています。
最も大事なのは「症状が残存している」という点がよく伝わるかどうかという点で、そのために「晴れの日も痛いし雨の日はさらに増悪する」と、痛みが常時存在することを書き記してもらいます。
事故発生直後から当事務所にご依頼頂ければ、後遺障害の「併合・相当・加重」の説明はもちろん、医師への対応方法についてもサポートできますので、ぜひご安心頂きたいと思います。