過失割合を決める要素と加算・減算の考え方
交通事故では関係者双方に非があるとされ、互いの過失を割合で決定します。決定された過失割合に基づいて賠償金額は大きく左右されるため、過失割合が何を根拠として誰が決定するのかを理解しましょう。
過失割合は双方の合意により決定される
過失割合のトラブルで多く見られるのが、保険会社から一方的に「今回の事故ではこの程度の過失割合になります」と告げられるケースです。被害者としては、非は加害者にあると考えているため自分の過失を理解しきれず、どうしても納得できないまま示談交渉を進めてしまうことが少なくありません。
事故現場の状況を調査する警察が割合決定の権限を持つと誤解されることもありますが、実際には、警察による実況見分調書等を材料とし、被害者と加害者双方の保険会社が話し合った上で過失割合について合意に至ります。
過失割合を決める要素と加算・減算の考え方
双方の過失は、基本的に以下の条件を考慮して割合が決まります。
車か歩行者か | 人と車による事故の場合、人は交通弱者と見なされるため車の過失割合が大きくなり、逆に車の過失は減算されます。車と車による事故では、当時の状況をよく考慮した上で責任の割合を判断します。 |
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信号・スピード・停車時・歩行時などの状況 | 信号が赤なのに通行した、スピード違反だった、停車中の車に一方的に衝突した等、事故当時の状況が過失の程度を大きく左右します。 また、特に注目すべき事柄がある場合、割合の加算・減算が行われます。 |
歩行者の状況 | 夜間歩行では車から人が見えにくいため歩行者に過失割合が加算されます。幹線道路や横断歩道ではない場所の歩行も歩行者の過失加算対象となります。 |
13歳未満の子供や老人 | 幼い子供や老人は、運動能力や判断能力が十分でないと判断されるため、車側の過失割合が加算されることがあります。車はこのような歩行者に対する注意義務を負うためです。 |
車と車の場合は、特に以下の状況から責任の重さが加算されます。
- 著しい過失:脇見運転、スピード違反等
- 重過失:居眠り運転、飲酒運転、無免許運転、著しいスピード違反等
- 大型車:大型車は普通車より高度な注意義務が求められるため加算対象となる
- 道交法違反:道交法違反により事故が起きた場合は加算対象となる
過失割合を理解し納得するためには専門家の力を借りるのがベスト
保険会社は社内資料から類似する事故判例を抽出し、過失割合を判断することが多いですが、事故が起きる背景や事情は一様ではありません。
しかし被害者はそのような内情を知る由もなく、言われるまま納得いかない過失割合を飲みこむことも多いのです。過失割合は自分がもらう賠償金額に直結するだけに、これは最も避けたいパターンだと言えます。
当事務所では、過失割合はどういう仕組みで決定されるのか、また割合について争った場合どれくらいの期間を要し、賠償金はどれほど増額するのか、全て被害者に伝え総合的に判断してもらうように心がけています。
裁判になった場合の流れや、裁判官はどのような判例や資料を参考にして判断するのか、もし認められた場合には何割ぐらい過失が修正され、どのぐらい賠償金は増額するのか、ご理解頂けるまでしっかりと説明を尽くしています。