高次機能障害の症状と正しい後遺障害等級認定のキーポイント
事故で頭部に強い衝撃を受けたことにより、高次機能障害を負うことがあります。
脳にダメージを受けると日常生活だけでなく、今後の人生にも大きく影響するため、後遺障害等級認定はしっかりと準備をして適正な等級を獲得しなければなりません。
ここでは、高次機能障害の症状について理解し、後遺障害等級認定を受けるためのポイントについてご説明します。
生活や就労に大きく影響する高次脳機能障害の症状
事故で脳に損傷を負った時、記憶や行動、感情等の知的分野に大きな障害が生じることがあります。
具体的な症状としては以下のものが挙げられます。
記憶障害 | 自分のとった行動を記憶として留めておけず、何度も同じことを尋ねたり物事を覚えづらくなったりします。 |
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注意障害 | 集中力に障害が現れるため、物事への取り組みを完了させることが難しくなります。結果として、作業を続けられない、ミスが増えるといったことが増えます。 |
遂行機能障害 | 自分で計画し行動に移すことが困難になるため、周囲からの指示がなければ何をすれば良いか判断できないことが増えます。 |
社会的行動障害 | 周囲への依存や子供のような退行が見られます。我慢ができず、感情を制御しにくくなります。自発性が低下したり、円滑な対人関係維持も難しくなったりします。抑うつ症状が見られることもあります。 |
病識欠如 | 自分が障害を持っていることを認識できないため、指摘されても受け入れることができません。 |
高次脳機能障害は、人間として社会生活を営む上で大きな困難をもたらしますが、外見からの症状確認や本人の症状自覚が難しいことから、兆候が見られたらすぐに医師に伝え、適切な治療を進める必要があります。
高次機能障害の後遺障害認定を受けるためには、医師の理解と認識が不可欠
後遺障害診断書には、症状が残存しているということをしっかりと書いてもらうことが基本となりますが、特に高次機能障害に対しては深い配慮が必要です。わかりやすい外傷ではなく、人間の内面である行動や思考、感情面で症状が現れるため、いかに医師に把握してもらうかがとても重要なのです。
被害者に見られる各症状について主治医に後遺障害診断書を作成してもらう必要がありますが、定型の枠に沿ってできるだけわかりやすく、伝わるように書いてもらわなければいけません。
常時症状が見られ、そのために日常生活や就労において大きな支障が生じているという点や、今後軽快する余地がないということをしっかりと記載してもらえるように、主治医に働きかける必要があります。
事故発生直後から弁護士に依頼すれば、適切な書き方をしてもらえるようにサポートできるため、安心して当事務所までご相談ください。
適切な等級認定を得るためのポイントは医師の正しい症状認知にある
結局のところ、等級認定で最も大事なことは、被害者が症状を医師にきちんと伝えることであり、主治医が症状を正しく認知することにあります。どうしても主治医との意思疎通が難しい場合は転院を勧めることもあり得ます。
当事務所では主治医への症状の伝え方も工夫しており、事故前と事故後でどう変化があったかを比較し、口頭説明だけで伝わらないようであれば文章にきちんとまとめて出すようにしています。
後遺障害が何級に認定されるかによって、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額に大きく影響するため、慎重かつ適切にサポートいたします。