成年後見申立の手続き代行について
突然の事故により家族が重傷を負い、脳機能障害や意識障害に陥ってしまったら、本人の人生を大きく変えてしまうだけでなく家族の心痛も想像を超えるものになります。
ここでは、加害者側から十分に損害賠償金を受けるために必要な成年後見申立手続きと当事務所における代行についてご説明します。
判断能力を失った被害者の代わりを務める成年後見人が必要になる
脳機能障害や意識障害を伴う場合、心身を動かすこともままならず、正しい判断能力を失った状態に陥ることがあります。このような場合、成年後見人を指定して本人の生活補助と財産管理を行います。成年後見人であることに期限はなく、本人の判断能力が回復するか死亡するまで継続することになります。
交通事故では、被害者は加害者に対して損害賠償請求を行いますが、意思疎通や判断能力に困難があると単独では手続きを行うことができません。脳機能障害や意識障害では、加害者に対する記憶すら失っていることも少なくないため、本来行うべき手続きを被害者本人の意思で進めることができないのです。
そこで、家庭裁判所に申し立てを行って被害者の成年後見人となり、被害者を保護し損害賠償請求を滞りなく進めることが必要になります。
成年後見人申立は家庭裁判所に行い手続する
治療中の被害者本人に代わり、家庭裁判所に対して家族が成年後見申立を行います。一般的には血縁関係の最も近い者が成年後見人になりますが、そのために家庭裁判所はよく調査を行い選任します。
1.家庭裁判所への申立
成年後見申立書ほか必要な書類を家庭裁判所に提出します。
2.家庭裁判所による調査の実施
裁判所は、申立人本人や申し立てを行った家族と面接し、書類をよく調査し、必要と思われる親族に意見を求めたり裁判官による審問を行ったりします。
3.成年後見人の決定
家庭裁判所は成年後見人を選任し、特に不服申し立てのない限り審判から2週間後に確定します。
成年後見申立が必要になるのは判断能力を失う重度後遺障害がある場合
本来であれば被害者本人の意思により損害賠償請求を行うのですが、次のような重度の後遺障害がある場合、成年後見人を立てることが必要になります。
高次脳機能障害
事故で脳機能に傷害を受け、記憶障害や遂行機能障害など日常生活に大きな支障が出る場合が当たります。
遷延性意識障害(植物状態)
以下の症状が3ヶ月以上続いている場合、遷延性意識障害にあるとされます。
- 自発的移動ができない
- 自発的食事ができない
- 自発的排便ができない
- 眼で見たものを認識できない
- ごく簡単な意思疎通も困難である
- 言葉を話せない
脊髄損傷
脊髄に強い衝撃を受けたことにより、神経が過度に圧迫されたり断裂したりした状態を指します。完全麻痺になると、運動機能や感覚機能が失われるだけでなく、体温調節等もうまくいかなくなります。生命維持に必要な機能が働かない状態です。これにより常時介護が必要となり、独力で物事を判断し行動することが困難になります。
成年後見申立の手続き代行で心身の負担軽減を
被害者本人が自発的な思考や判断、生命維持のための活動ができない状態に陥ることは、想像を超えた困難となります。そのような状況下で、成年後見申立のための書類を用意し裁判所に申し立てることは、家族にとっても心身に大きな負担となります。少しでも負担を軽減し治療に専念できる環境を作るためにも、当事務所では成年後見申立手続きの代行を行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。